精選版 日本国語大辞典 「稲莚」の意味・読み・例文・類語
いな‐むしろ【稲莚】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- [ 2 ] 枕 「かわ(川)」にかかる。かかり方未詳。いなうしろ。
- [初出の実例]「伊儺武斯盧(イナムシロ) 川副楊(かはそひやなぎ) 水行けば 摩(なび)き起き立ち その根は失せず」(出典:日本書紀(720)顕宗即位前・歌謡)
稲莚の補助注記
( 1 )[ 一 ]①の万葉の例は「敷く」の序詞の一部として用いられている。
( 2 )[ 二 ]のかかり方については諸説ある。( イ )風に吹かれて波打つ稲田のさまを川に見立てて。( ロ )川面の青やかであるのを[ 一 ]①を敷いたのにたとえて。( ハ )「いなむしろ」は「いねむしろ(寝莚)」の変化した語で、「いなむしろ」に使う皮の意から「皮」と同音の「川」にかかる。( ニ )稲の莚は、コモ、スゲなどの莚にくらべて編み目が強(こわ)ばっているところから「こわ」と類音の「川」にかかる、など。