朝日日本歴史人物事典 「稲葉通邦」の解説
稲葉通邦
生年:延享1(1744)
江戸中期の有職故実家。尾張(名古屋)藩藩士稲葉通経の子。通称喜三郎。字は君達。岡田重定に入門して古流故実を学び,重定の隠居後は師家を継承して門弟を教授した。藩の御書物調御用,御図書吟味役などを務め,『神祇宝典』『類聚日本紀』の校定,『張州府志』『尾陽志略』『木曾志略』の改正補訂などに従事した。『将門記』『和名類聚抄』の零本の影写を刊行する一方,尾張周辺の古武器類の実測調査を行い,その復元を試みるなど,文献だけでなく遺物と実見によって総合的に研究した。河村秀根,神村正鄰,石原正明らと共に『令義解』を協同研究し,その成果を『講令備考』にまとめた。
(白石良夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報