穴窯(読み)アナガマ

デジタル大辞泉 「穴窯」の意味・読み・例文・類語

あな‐がま【穴窯】

焼き物窯の古い形式の一。斜面を掘って天井だけを構築したものと、地中を掘り抜いたものとがある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「穴窯」の意味・わかりやすい解説

穴窯
あながま

古窯(こよう)の一形式。斜面に縦に溝を掘り、これに天井をかぶせただけの簡単な登窯(のぼりがま)。焼物は高火度で焼成するが、そのために窯が築かれる。日本ではこの穴窯が5世紀に朝鮮半島から須恵器(すえき)の技術とともに導入された。普通、穴窯は2メートルから10メートルほどの長さであるが、なかには備前焼の鉄砲窯のように50メートルを超える長大な穴窯もある。構造は簡単で、1本の溝にすぎず、燃料をくべる燃焼室と、製品を置く焼成室からなり、後部煙突がつく。平安時代中期に燃焼窯の後ろに、炎を二つに分ける分焔(ぶんえん)柱が設けられて、やや改善されたが、桃山時代に連房式登窯が登場するまで、およそ1100年ほどの間、たいした改造もなく連綿とこの形式が保たれた。

[矢部良明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android