改訂新版 世界大百科事典 「空想虚言」の意味・わかりやすい解説
空想虚言 (くうそうきょげん)
phantastic pseudology
架空のことがらを本当らしく活発に物語り,それらしくふるまっているうちに本人自身も真実であると信じ込んでしまうような場合をいう。デルブリュックA.Delbrückが記載した(1891)。1905年デュプレE.Dupréが記載した虚言症mythomanieも類似の概念である。自己顕示的,ヒステリー的な性格異常者にみられる。自分は高名な人物,皇族,貴族,大金持ち,発明家,天才,大泥棒,数奇の運命の人物だなどという空想的物語が虚実とりまぜて語られ,詐欺に結びつくことがある。現実との矛盾を指摘されると,変更されたり訂正される点は妄想と異なり,躁病や進行麻痺の誇大念慮,さらには詐病との区別が問題となりうる。
→噓
執筆者:浅井 昌弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報