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進行麻痺 しんこうまひgeneral paralysis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

進行麻痺
しんこうまひ
general paralysis

梅毒トレポネーマに脳実質が侵されて起こる精神病で,麻痺性痴呆ともいう。 1917年,野口英世が患者の脳からトレポネーマを発見したことは,疾患の原因究明に役立っただけでなく,精神病に対する理解,特にその疾病分類学に大きく貢献した。進行麻痺は,かつて精神科入院患者の 20%を占め,統合失調症に次ぐ位置にあったが,梅毒対策の進歩とともに患者数が減少し,日本ではほとんど発生することがなくなった。

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デジタル大辞泉の解説

しんこう‐まひ〔シンカウ‐〕【進行麻×痺】

梅毒感染後10年から数十年のち(第4期)に起こる脳疾患。記憶力判断力が衰え、認知症となり、感情・意思の障害を示す。麻痺性痴呆。脳梅毒

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百科事典マイペディアの解説

進行麻痺【しんこうまひ】

麻痺性認知症(痴呆)とも。真性の脳梅毒性疾患。梅毒患者の2〜3%に,感染後3〜20年で発病。脳脊髄液のワッセルマン反応は陽性。多彩な精神神経症状が出現し,神経衰弱,性格の変化,無分別,無責任,注意力散漫となり,行動は衝動的,記憶力減退し,ついには精神荒廃状態に至る。
→関連項目精神病

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世界大百科事典 第2版の解説

しんこうまひ【進行麻痺 general paralysis】

梅毒の第4期,すなわち梅毒感染後10~20年を経過して発病するもので,脳実質が梅毒トレポネマにより侵される結果起こる精神病。ワッセルマン反応の発見(1906)により,本病が梅毒と関係することが明らかにされ,次いで1913年野口英世が本患者の脳内に梅毒トレポネマを発見するに及び,本病の原因が確定した。全梅毒患者の約5%に進行麻痺の発現をみる。男女比は4対1くらいである。感染初期の治療が不十分の場合に発病しやすいといわれる。

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大辞林 第三版の解説

しんこうまひ【進行麻痺】

梅毒による精神神経障害。感染後10~20年で発症、脳実質が広く冒されて記憶障害や思考力の低下、妄想などの症状が進み、末期には全身麻痺に至る。俗に脳梅毒という。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

進行麻痺
しんこうまひ

梅毒に感染後10年以降に発生する変性梅毒の一つで、中枢神経系の変性が原因である。前駆期、旺盛(おうせい)期および末期に分けられており、症状はきわめて多種多様である。前駆期における精神障害としては、記憶力の減退および注意力の欠乏を訴え、抑制力は消失し、道徳観念の減退、さらには性格の変化が生じて、多くの例ではうつ状態になる。また麻痺性発作が発生するが、これは卒中型とてんかん型とに分けられている。このほか言語障害がある。
 旺盛期には認知症が進行し、精神状態は全体に冒されて、種々の精神障害を生ずる。手のふるえ、唇や舌などの麻痺による言語および構語の障害、書字の障害として脱字・誤字が目だってくる。このほか瞳孔(どうこう)変形、眼筋麻痺、視神経萎縮(いしゅく)があり、さらに皮膚反射の消失、肝・腎(じん)機能障害がみられることもある。
 末期になると麻痺状態は高度となり、食事の摂取も不可能となる一方、肛門(こうもん)括約筋も麻痺して不随意的に排便をするようになる。
 経過はいろいろであるが、一般には2~5年の経過とともに静止するものや、急速に進行するものもある。ときには自然治癒したり、発熱療法により軽快することもある。
 脳脊髄(せきずい)液の検査成績として、タンパク量および細胞数の増加があるほか、脳脊髄液の梅毒反応、とくにTPHAテスト(梅毒の感作(かんさ)血球凝集反応)が陽性になっている。近年では、進行麻痺の症例の発生は、きわめてまれになっている。[岡本昭二]

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世界大百科事典内の進行麻痺の言及

【誇大妄想】より

…躁病の誇大妄想は高揚した自我感情から発する願望や空想がそのまま異常に強く確信されたもので,固定的ではない。進行麻痺の誇大型でも高揚した感情状態から誇大妄想が生じ,判断力などの知的能力の低下が加わって,グロテスクな内容になることが多い。精神分裂病にもしばしば出現するが,その発生は了解しがたく,被害的色彩をもつことが多い。…

【神経梅毒】より

…(2)には早期型(感染後2年以内に発症)と後期型(感染後4~10年で発症)とがあり,髄膜炎症状を中心とした多彩な症状を呈する。(3)では脊髄癆(ろう)(約30%)と進行麻痺(約15%)が重要で,10年以上の潜伏期の後に発症する。前者では電撃痛,発作性内臓痛,失調歩行,腱反射消失,瞳孔異常などが,後者では人格変化,知能低下,痙攣(けいれん)などが特徴的症状である。…

※「進行麻痺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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