窪所(読み)くぼどころ

改訂新版 世界大百科事典 「窪所」の意味・わかりやすい解説

窪所 (くぼどころ)

建武政府の警備隊。関係記事としては,窪所と号して伊賀兼光結城親光・富部信連・高師直らを衆中としたこと(《梅松論》),1336年(延元1・建武3)2月新田義高・金持広栄ら13名の武将を4番制の窪所に配置したこと(《建武記》)が知られるぐらいで,窪所の実体はほとんど不明。時期的にみて,前者は建武政府成立後まもないころの状況とみられ,後者は足利尊氏離反後の交名(きようみよう)である。窪所と武者所との関係も不明確であるが,現存する36年の両者の交名を比較すれば重複者が少なくないので,別々の機構だとしても性格的には近いと考えられる。ただ窪所は規模が小さく勤務に当たっては番衆のほかは理由なく当所へ来てはならないと定められていたことから推せば,朝廷の特別要所警備を担当したらしい。なお窪所の名称はその設置された場所が低くくぼんでいたことに由来するという推論もあるが,説得力に欠ける。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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