精選版 日本国語大辞典 「窶す」の意味・読み・例文・類語
やつ・す【俏・窶】
- 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
- ① みすぼらしいようにする。目立たないように姿などを変える。
- ② そのことにうち込んで、やせるほどに思い悩む。心身を砕く。
- [初出の実例]「されば又命のほども知れたるに叶ぬ恋に身をぞやつせる」(出典:桜井基佐集(1509頃)恋)
- ③ 剃髪(ていはつ)する。出家する。
- [初出の実例]「尼になれる人有りけり。かたちをやつしたれど、物やゆかしかりけむ」(出典:伊勢物語(10C前)一〇四)
- ④ 物事を省略する。簡略にする。また、きちんとしたものをくずす。略す。〔邇言便蒙抄(1682)〕
- ⑤ 行儀をくずす。うちとけた様子にする。
- [初出の実例]「すこしりゃくしだてに御やつしなされ候はば」(出典:評判記・難野郎ふるたたみ(1666頃)玉むら吉彌)
- ⑥ ある物に似せて作る。まねて作る。また、もじったり、当世化、パロディー化したりする。
- ⑦ 容姿をつくる。化粧する。めかす。しゃれる。
- [初出の実例]「『きみけいせいとやつしいすが、心のうちはこれみなんし』としろむくの間にかけたる五条げさ」(出典:洒落本・契情買虎之巻(1778)二)