改訂新版 世界大百科事典 「竜山石」の意味・わかりやすい解説
竜山石 (たつやまいし)
兵庫県高砂市伊保町竜山に産する流紋岩質凝灰岩の石材名。淡緑灰色のものと淡黄褐色のものとがあるが,後者は産額が少ない。軟質ではあるが耐火性に富む。加工容易なことから古くより石材として利用され,古墳時代の石棺の材料としては,奈良県二上山の凝灰岩とともにこの石がよく使われているし,姫路城の石垣もまた竜山石である。大阪住友ビルの外装をはじめ,明治以降の近代建築にも利用されてはいるが,御影石の採掘,加工技術の進歩にともなって建築分野での利用は衰え,今日では,宅地造成用の土木用材としての利用がほとんどである。〈りゅうざんせき〉と読むこともあり,印南(いんなみ)石ともいう。なお,竜山の東端に製作目的がよくわかっていない巨石記念物〈石の宝殿(いしのほうでん)〉がある。《播磨国風土記》にも記載され,現在は生石(おおしこ)神社の御神体となっている。
執筆者:矢橋 謙一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報