翻訳|keel
鳥類の胸骨下面からその正中線に沿って垂直に突き出た突起で,胸峰carinaともいう。この突起は,胸筋(翼を動かす大型の筋肉)の付着面として役だっている。したがって,胸筋のよく発達した,羽ばたきの強い鳥では竜骨突起は大きく(とくに深さが深い),飛翔(ひしよう)力の退化した鳥では小さいか退化している。たとえば,走鳥類(ダチョウの仲間)の胸骨は下面が平らで,竜骨突起といえるものがない。いっぽう,竜骨突起がよく発達している鳥は,スズメ目の大部分,アマツバメ目,ハト目,キジ目などである。なお,ペンギン類は泳ぐのにつばさを使うので,飛ぶことができないにもかかわらず竜骨突起をもっている。竜骨突起は一般に鳥類の特徴の一つといいうるが,鳥類以外にも翼手竜類pterodactylsやコウモリ類のなかには竜骨突起らしいものをもつものがある。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…皮膚がのびてできたこれらの膜は2層からなり,その間に細い筋肉,血管および神経などが分布する。胸骨には翼を動かす胸筋が付着するのに適した竜骨突起が発達し,肩甲骨と鎖骨が大きい。また,一部の類では胸椎,頸椎(けいつい),肋骨などの一部が癒着して,板状になり,がんじょうな胸郭を形成する。…
…胸骨は肋骨によって胸椎と関節結合している。多くの鳥では,胸骨の下面中央に大きな垂直の突起(竜骨突起)をもち,胸骨の構造を強くするとともに,胸筋の付着面を大きくしている。骨盤は,腰椎,仙椎および尾椎の一部が互いに癒合して,一体となった腰仙椎に腰帯も癒合して形成された平らな骨で,大腿骨が関節結合する。…
※「竜骨突起」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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