つばさ(英語表記)Wings

改訂新版 世界大百科事典 「つばさ」の意味・わかりやすい解説

つばさ
Wings

サイレント映画最後の〈スペクタクル映画〉として知られる1927年製作のアメリカ映画監督は第1次世界大戦でフランス空軍部隊に加わった経歴のあるウィリアム・A.ウェルマンで,〈航空映画〉の傑作として映画史に記される作品。キング・ビダー監督によるMGMの戦争映画の大作《ビッグ・パレード》(1925)に対抗してつくられたパラマウントの戦争映画で,第1次大戦を背景に男の友情と恋のドラマを描き,悲劇に終わる青春ロマンス的な物語であるが,見せ場は20台をこえるカメラを駆使して撮影したといわれる空中戦である。この映画が公開される2ヵ月あまりまえにチャールズ・リンドバーグが大西洋無着陸横断単独飛行に成功し,航空熱が高まっていたことも手伝って興行的にも大成功し,その後《暁の偵察隊》(1930),《最後の偵察》(1931),《火の翼》(1932)などの〈航空映画〉が流行するさきがけともなった。アメリカロードショーでは,上映時間2時間16分の約半分が映写機に補助レンズをつけて映像を拡大する〈マグナスコープMagnascope〉と呼ばれる拡大スクリーンに,そして空中シーンの一部は青と赤の二色法カラーで上映された。第1回アカデミー作品賞と技術効果賞を受賞している。
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デジタル大辞泉プラス 「つばさ」の解説

つばさ〔朝の連続テレビ小説〕

NHKのドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」の作品のひとつ。2009年3月~9月放映脚本:戸田山雅司。音楽:住友紀人。出演多部未華子高畑淳子、中村梅雀、吉行和子ほか。家出した母に代わり主婦業を担ってきた少女つばさが、母の出戻りと共に地域ラジオのDJとして自らの夢を見出していく姿を描く。

つばさ〔映画〕

1927年製作のアメリカ映画。原題《Wings》。航空映画の元祖とされるサイレント映画。監督:ウィリアム・A・ウェルマン、出演:クララ・ボウ、チャールズ・ロジャース、リチャード・アーレン、ゲイリー・クーパーほか。第1回米国アカデミー賞作品賞、技術効果賞受賞。

つばさ〔ドラマ:NHK〕

日本のテレビドラマ。放映はNHK(1994年2月~3月)。全16回。脚本:宮村優子。主題歌:近藤房之助。出演:哀川翔、志村東吾、中村あずさほか。

ツバサ

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、アンダーグラフ。2004年発売。作詞・作曲:真戸原直人。

つばさ〔機関誌〕

全国電力関連産業労働組合総連合が発行する機関紙。

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世界大百科事典(旧版)内のつばさの言及

【翼】より

…羽根,つばさともいう。空気など流体の中を動き,または風や流れを受けたとき,大きな揚力を発生することをおもな目的としたもので,航空機を空に浮かべる役割を果たす。…

【ウェルマン】より

…アメリカの映画監督。第1回アカデミー作品賞を受賞した航空映画の名作《つばさ》(1927)の監督として有名だが,ハリウッドの映画製作がもっとも豊饒(ほうじよう)だった1930年代を中心に,いわゆる〈企業内監督studio director〉として多彩なジャンルをこなした。とりわけ,ジェームズ・キャグニーを不滅のギャングスターに仕立てた《民衆の敵》(1931)は,ホークス監督の《暗黒街の顔役》とともにギャング映画流行のきっかけを作り,《スタア誕生》は内幕物の名作となり(1937年アカデミー・オリジナルストーリー賞受賞),私刑をテーマに心理ドラマを西部劇にもちこんだ《オックスボウ事件》は〈アダルト・ウェスタン〉のはしりとして,《G・I・ジョー》(1945)は戦場をリアルに描いた新しい戦争映画として,それぞれのジャンルを活性化させ,単なる職人監督以上の足跡を残した。…

【スペクタクル映画】より

… スペクタクル映画はグリフィス以来,ハリウッドのお家芸になって今日まで続いているが,全映画史を通じてその最大の推進者となったのが〈スペクタクルの巨匠〉の名をほしいままにしたセシル・B.デミル監督である(他方,フランスにはほとんど狂い咲きのように大スペクタクル映画をめざしたアベル・ガンス監督の孤高の存在がある)。1920年代には西部の開拓者たちを描いた《幌馬車》(1923),聖書に取材したデミル監督《十誡》(1923),古代ローマの歴史を描いた《ベン・ハー》(1926),キリストの生涯を描いたデミル監督《キング・オブ・キングス》(1927),第1次世界大戦における空中戦を描いた《つばさ》(1927)などがスペクタクル映画としてつくられた。30年代には,経済的不況による製作費の削減で前半はふるわず,セックスと暴力のメロドラマ的《暴君ネロ》(1932),デミル監督の見せかけだけの歴史スペクタクル《クレオパトラ》(1934),《十字軍》(1935)などでお茶をにごした程度だったが,半ばころからはベストセラー小説の映画化が盛んになり,ハーベイ・アレン原作による《風雲児アドバース》(1936),ジェームズ・ヒルトン原作《失われた地平線》(1937),パール・バック原作《大地》(1937),マーガレット・ミッチェル原作《風と共に去りぬ》(1939),ルイス・ブロムフィールド原作《雨ぞ降る》(1939)などがつくられた。…

※「つばさ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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