竜骨(読み)リュウコツ

デジタル大辞泉 「竜骨」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐こつ【竜骨】

船底中心を、船首から船尾へ貫く主要部材。船の背骨となるもの。キール。間切り瓦。
古代哺乳動物の骨の化石漢方収斂しゅうれん鎮静薬などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「竜骨」の意味・読み・例文・類語

りゅう‐こつ【龍骨】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 古生物の骨の化石。古くは薬として用いた。
    1. [初出の実例]「聖僧分捌種 〈略〉五色龍骨八十七両」(出典:法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
    2. [その他の文献]〔史記‐河梁書〕
  3. 船底の中心を船首から船尾へ通した材で、船体構成の基礎となるもの。まぎりがわら。キール。〔和漢船用集(1766)〕
  4. りゅうこつしゃ(龍骨車)」の略。〔揚雄‐答劉歆書〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「竜骨」の意味・わかりやすい解説

竜骨(漢薬)
りゅうこつ

『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』の上品(じょうほん)に収載されている漢薬。古代大形哺乳(ほにゅう)動物の骨の化石化したものを用いる。現在判明している動物としては化石ゾウ、化石ジカをはじめ、サイ類、イノシシ類、ウシ類などがあげられる。竜骨はその質の違いにより、商品上「花(か)竜骨」と「土(ど)竜骨」とに分けられる。前者灰色で、表面には灰黒色、褐色、黄色あるいは青色をした斑紋(はんもん)、条紋(これを花紋(かもん)という)が認められる。質はやや硬いが、破砕しやすく容易に粉末となる。後者は表面に花紋がなく、断面中空あるいは多孔質である。質は硬くて破砕しにくいが、破砕すると小片となる。花竜骨のほうが上質品とされる。竜骨の主成分は炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどである。主たる薬能は精神安定作用で、ノイローゼヒステリー、失眠、めまいなどに応用される。通常は牡蠣(ぼれい)(マガキなどの貝殻)とともに漢方処方に配合される。古来、竜骨の品質については「なめてみて舌に吸着するものがよい」とされており、新しい骨を石灰水や沈降炭酸カルシウムで処理した偽品には吸着性はない。

[難波恒雄・御影雅幸]


竜骨(キール)
りゅうこつ

キール

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百科事典マイペディア 「竜骨」の意味・わかりやすい解説

竜骨(薬)【りゅうこつ】

漢方薬の一つ。ゾウなどの大型脊椎動物の化石の骨,角,歯などからなる。古来,中国や日本の本草学で各種神経症状に対する鎮静作用が珍重された。竜骨を含む漢方処方として今日でも用いられるものに柴胡竜骨牡蠣湯(ぼれいとう)があり,のぼせ症,不眠,精神不安,夜驚症,めまいなどに用いられる。香港の薬種店でケーニヒスワルトがこの竜骨の中からギガントピテクスの歯を発見したことは著名。また甲骨文字発見(1899年)の端緒となったのも竜骨からであった。今日では,文化財保護の観点から,資源の見直しが検討されている。

竜骨(生物)【りゅうこつ】

竜骨突起,胸峰とも。大部分の鳥類にある腹面正中線に沿った胸骨の隆起。翼を動かす胸筋の付着部となるため,飛行力の強いものほどよく発達。コウモリにも類似の構造がある。

竜骨(船)【りゅうこつ】

キール

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改訂新版 世界大百科事典 「竜骨」の意味・わかりやすい解説

竜骨 (りゅうこつ)

キール(船舶)

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普及版 字通 「竜骨」の読み・字形・画数・意味

【竜骨】りゆうこつ

竜の骨。

字通「竜」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竜骨」の意味・わかりやすい解説

竜骨
りゅうこつ

「キール」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の竜骨の言及

【キール】より

…船底の船体中心線位置において船首から船尾まで縦通し,船首材,船尾材と結合される部材。船体の背骨に相当するもので竜骨とも呼ばれる。船体構成上の基本部材であるとともに縦強度を支持する構造部材の一つである。…

【ステゴドン】より

…中型ないし大型のゾウで,東南アジアでは,ジャイアントパンダ,オランウータンなどをともなうことが多く,そうした組合せはステゴドン‐ジャイアントパンダ動物群(または万県(ワンシエン)動物群)とよばれている。1804年(文化1)に,琵琶湖の西岸にある滋賀県大津市堅田の南庄で発見され,竜骨として有名になったのは,このトウヨウゾウの化石であり,82年にドイツ人E.ナウマンによってステゴドンの1種として記載された。ステゴドンは,温暖な気候のもとでの森林生活者とされる。…

※「竜骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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