第二院(読み)だいにいん(英語表記)second chamber

翻訳|second chamber

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「第二院」の意味・わかりやすい解説

第二院
だいにいん
second chamber

両院制をとる議会において,直接に国民を代表する第一院 (下院 lower house) に対して,他の一院 (上院 upper house) をいう。第二院の構成,機能は,各国の歴史的,社会的条件,国家構造によって異なるが,次の4つの型に大別できる。 (1) 保守代表型または貴族院型 主として特権的階級の代表によって構成され,民主的勢力を代表する第一院に対立して君主主義や保守主義を擁護する政治的拠点として機能するもので,イギリスの上院などがこれにあたる。日本の明治憲法下の貴族院もこれに該当。 (2) 支邦代表型または連邦型 連邦制をとる国家において,各邦ないし州の代表によって構成され,邦ないし州の代表機能を果すもので,アメリカ合衆国の上院 Senate,スイスの全州会議 Ständerat,ドイツの連邦参議院 Bundesratなどがこれにあたる。 (3) 国民代表型または参議院型 多元的な民意を反映,代表させるとともに下院の数の支配,軽率な行動に対してこれを抑制する機能を果すことをたてまえとするもので,日本の参議院などがこれに属する。 (4) 職能代表型 職業上の諸分野の代表によって構成され,その要求を代表する機能を果すものであるが,この型のみをもって第二院を組織している国は現在みられない。また第二院の権限については,法的にも実際上も第一院と同等の権限を有するもの (アメリカの上院,明治憲法下の貴族院) ,法的には同等ないしこれに近いが実際上は劣るもの (フランス第三共和制の元老院) ,法的にも実際上も第一院に劣るもの (イギリスの上院,日本の参議院) に大別される。

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