ある数に、一定の数を次々に加えていってできる数列。算術数列ともいい、A. P.(arithmetic progression)と書くこともある。最初の数を初項、次々に加える一定数を公差という。初項をa、公差をdとするとき、その第n項anは、
an=a+(n-1)d
と表される。とくに、三つの数a1,a2,a3が等差数列をなすとき、間の数a2を等差中項という。等差中項は両端の数a1、a3の相加平均(算術平均)で表される。すなわち
である。初項a、公差d、項数nの等差数列の和をSnとすれば、
である。ここでlは、この数列の最後の項(末項という)を表す。とくに、奇数からなる数列1,3,5,……のn項の和はn2である。そして、一般項が項の番号nについての二次式であるような数列b1,b2,……すなわちbn=An2+Bn+Cであるような数列については、その階差数列は等差数列であり、もしここでC=0ならば、bnは、ある等差数列a1,a2,……に対して、そのn項目までの和を表す数列となる。数列a1,a2,……の逆数、すなわち
が等差数列をなすとき、a1,a2,……を調和数列という。とくに、三つの数a1,a2,a3が調和数列をなすとき、a2を調和中項という。これはa1、a3の調和平均
である。
[竹之内脩]
例えば{3,7,11,15,……}や{4,1,-2,-5,……}のように,隣り合う2数の差が一定である数列を等差数列といい,その一定の差を公差という。上の二つの例では公差はそれぞれ4,-3である。初項(第1項)がa,公差がdである等差数列の第n項anはan=a+(n-1)dとなる。また,この等差数列の初項から第n項までの和Snは,
で与えられる。等差数列a1,a2,……,an,……の項の順に形式的に加号(+)で結んだ式,
a1+a2+……+an+…… ……(2)
を等差級数arithmetic seriesというが,この無限個の項の和は初項も公差も0(すなわち,すべてのanが0)というつまらない場合を除き発散するから,(2)は具体的な意味をもたない。一般に(2)の形の級数の第1項から第n項までの和Snを級数の部分和というが,等差数列の部分和の公式は(1)にほかならない。なお,等差数列そのもののことを等差級数,または算術級数ということがある。
→級数
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…項の番号nに対応してanを定める規則が与えられれば,一つの数列が定義される。例えばa,d,rを定数とするとき,で定義される数列は,それぞれ等差数列,等比数列,調和数列と呼ばれる。また,a1とa2が与えられ,an=1/2(an-1+an-2)(n≧3)という規則が与えられれば,すべてのanが順次定まるから,一つの数列が定義される。…
※「等差数列」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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