化学辞典 第2版 「等自由体積状態」の解説
等自由体積状態
トウジユウタイセキジョウタイ
iso-free volume state
一定の温度,圧力のもとで,分子自身がもつ単位質量当たりの体積から,その分子の占有体積を差し引いた体積として定義される自由体積あるいは全体積に対する割合,すなわち自由体積分率が等しい状態をいう.T.G. FoxとP.J. Flory(フローリー)は,分子量の異なる分別ポリスチレンについて,比体積,粘度の測定から,ガラス転移において粘度は一定値(等粘性状態)とはならず,むしろガラス転移温度で凍結した自由体積は分子量によらず一定であると考え,ガラス転移温度は等自由体積状態であることを提唱した.この提案を指示するものとして,WLF式と緩和現象の実験との比較から求められるガラス転移温度における自由体積分率が,物質によらず一定値約0.025をとることが示された.この実験結果などからガラス転移温度では,高分子物質は等自由体積状態にあるといわれている.しかし,等配位エントロピー状態などの説もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報