改訂新版 世界大百科事典 「管方」の意味・わかりやすい解説
管方 (かんかた)
雅楽,特に舞楽の場合の楽器奏者の総称。舞楽の伴奏には,一般に笙・篳篥(ひちりき)・笛(竜笛あるいは高麗(こま)笛)の三管と,羯鼓(かつこ)(あるいは三ノ鼓)・鉦鼓・太鼓の三鼓が用いられるが,打楽器奏者も含め,舞楽のときの楽器奏者を管方と呼ぶ。舞台後方に,向かって右から羯鼓(あるいは三ノ鼓),笙,篳篥,笛の順に椅子に座って演奏する。また,舞台の左右には大太鼓(だだいこ)と大鉦鼓(だいしようこ)が一対ずつ置かれ,左舞(さまい)のときは左側,右舞(うまい)のときは右側の楽器を立って打つ。本来,管方は左右に分かれていて,左舞のときは左方の管方,右舞のときは右方の管方が分担するのが正式であった。なお,管方の装束は襲(かさね)装束(常装束)に袍を着用せず(羯鼓あるいは三ノ鼓奏者のみ袍を着る),鳥兜をかぶる。
執筆者:加納 マリ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報