改訂新版 世界大百科事典 「箱館会所」の意味・わかりやすい解説
箱館会所 (はこだてかいしょ)
箱館産物会所ともいう。江戸時代,蝦夷地の幕府直轄にともない蝦夷地産物取扱いのために設けられた幕府直営機関。1799年(寛政11)幕府は東蝦夷地を直轄し,その経営を直営とした際,蝦夷地産物の集荷・販売機関として箱館(現,北海道函館市)と江戸に会所を設け,全国枢要の地に御用取扱商人を置いた。1812年(文化9)場所請負制の復活にともない廃止したが,55年(安政2)幕府は蝦夷地を再直轄するや,57年蝦夷地産物の流通統制と開拓資金の捻出を目的として箱館に産物会所を設置し,江戸・大坂などに会所・用達商人を置いて蝦夷地産物の検査・取締りを行い,売買価格の100分の2を口銭として上納させた。さらに60年(万延1)以降は生産・流通の全過程を支配するため,〈元仕入仕法〉と称して生産者へ資金の前貸しをするとともに堺,敦賀,下関,新潟,松前などにも会所用達を置いて蝦夷地産物の取締りに当たった。68年(明治1)箱館生産会所,翌年北海道産物改所と改称,ついで70年には開拓使の所属となり,72年外国貿易を除く北海道移出入税の免除にともない閉鎖されるに至った。
執筆者:榎森 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報