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産物会所 さんぶつかいしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

産物会所
さんぶつかいしょ

国産会所,物産会所ともいう。江戸時代中期以降,殖産興業政策や各地の特産を専売するために設けられた諸藩の機関。貢租収入を中心とする藩財政は,商品経済の発展に対応できず窮乏状態に陥ることが多く,その打開策として,各地で生産される米以外の特産物を藩や御用商人が一手に集荷して藩外への販売を行い,その利潤で財政の建直しをはかった。国産を保護,奨励,統制することによって領内農民の再生産を掌握し,藩営専売制度を設けて流通独占による利益を得ようとしたものが多く,しばしば百姓一揆の対象となり,また価格騰貴を引起して市場を攪乱した。運営は,初期には藩による直接的購入の形態が支配的であったが,のちには城下商人が参加した。幕府は天保 13 (1842) 年に国産専売禁止令を発し,直轄の国益会所を文久3 (63) 年に設置して生産,流通を独占しようと試みたが失敗し,結局廃藩時まで存続した。会所の名称は国産会所,国産方,御仕入方,切手会所や,特定産物の名を冠した石会所,藍会所,ろう座,半紙方などのように藩や目的によりまちまちであった。姫路藩は木綿,郡上藩は生糸,高松藩は砂糖などの独占販売を行い,藩札 (はんさつ) をもって生産者に支払うことが多かった。藩札は乱発されることが多く,藩内におけるインフレーションの原因をつくり,直接生産者の利益を著しくそこなうものであった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

産物会所
さんぶつかいしょ

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世界大百科事典内の産物会所の言及

【国産会所】より

…国産方,産物方,産物会所ともいう。江戸中期以降,藩が領内で生産される国産の奨励または統制を行うために設けた機関。…

【殖産興業】より

…たとえば鹿児島藩では1830‐40年代(天保・弘化期)の藩政改革ののち,集成館の造船・造機工場や洋式綿糸紡績所などの操業が開始され,諸藩や幕府でも反射炉,溶鉱炉,造船所の建設や国産振興,専売制度,交易拡大などの政策が,緊迫した内外の政局のなかで積極的に進められた。諸藩の産物会所や幕府の神戸商社(1867年設立)のほか,佐賀藩,鹿児島藩,水戸藩,盛岡藩,韮山代官所などの反射炉や溶鉱炉,長崎,横浜,横須賀の幕営製鉄所(造船・造機工場),鹿児島紡績所と奄美の製糖工場(鹿児島藩)などは,その代表的な例である。それらはいずれも政策主体(幕府,諸藩)の危機意識に基づいて幕営ないし藩営企業として設立され,また多くの場合,製鉄,造船,造機などの軍事部門を含んでいた。…

【藩政改革】より


[後期――特産物の専売化と荷為替の運用]
 ここで時期区分した年代は,19世紀前半期にあたり,文化・文政・天保期(1804‐44)ということになろう。藩政改革の視点からこの時代を特徴づけるものは,各藩ともに財政的に行き詰まり,産物会所(国産会所)を設け,藩専売制によってこの困難な事態を打開しようとしていることである。例えば,播磨・但馬両国内に展開している大小諸藩をみても,こぞってこの時期に国産会所の設立に走っているが,ただ,産物会所を設け,専売制の実施に踏み切っても赤穂藩の塩専売制度のように,逆に1821年(文政4)には産物会所の解散に追い込まれていく場合もみられた。…

※「産物会所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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