籠太鼓(読み)ロウダイコ

デジタル大辞泉 「籠太鼓」の意味・読み・例文・類語

ろうだいこ【籠太鼓/弄太鼓】

謡曲四番目物。脱獄した夫の身代わりに牢に入れられた妻が、狂乱して牢に掛けてある鼓を打って舞うと、同情した領主夫婦を許す。

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精選版 日本国語大辞典 「籠太鼓」の意味・読み・例文・類語

ろうだいこ【籠太鼓・弄太鼓】

  1. 謡曲。四番目物。各流。作者未詳。九州松浦(まつら)の領主は、召使いの関の清次が他郷の者を殺したので牢に入れたが、清次は牢を破って逃げてしまう。そこで清次の妻が身代わりに牢に入れられ、夫のありかを尋問される。妻は知らないと言いはるが、そのうち夫を恋い慕うあまり心が乱れ、牢にかけてある鼓を打って舞い狂う。これを見て哀れに思った領主は夫婦ともに許すと言うと、妻は初めて夫のありかを明かし、夫をたずねてともに帰る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「籠太鼓」の意味・わかりやすい解説

籠太鼓
ろうだいこ

能の曲目。四番目物。狂女物。五流現行曲。作者不明。領主(ワキ)は、殺人を犯して牢(ろう)にある関の清二(せいじ)が脱獄したと聞き、下人(げにん)(間(あい)狂言)に命じて清二の妻(シテ)を身代りに牢に入れる。夫を慕って狂乱する彼女に同情した領主は、2人ともどもに許すことを約束して終わる。偽りの物狂いであり、世話物的色彩の濃い異色の能だが、思慕の情の強さと哀れさが一貫している。題名は、牢番が時を知らせる鼓を牢の作り物につけることから、牢の字を忌んで籠の字をあてる。

増田正造

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