粗面玄武岩(読み)そめんげんぶがん(その他表記)trachybasalt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「粗面玄武岩」の意味・わかりやすい解説

粗面玄武岩
そめんげんぶがん
trachybasalt

アルカリ橄欖(かんらん)石玄武岩よりも無水ケイ酸とアルカリを多く含むアルカリ岩系列の玄武岩で、粗面岩に似た粗面組織をもつことが多い。外観は緻密(ちみつ)で、淡灰色を呈する。構成鉱物はアルカリ橄欖石玄武岩とほとんど同じで、斑晶(はんしょう)に橄欖石、普通輝石(オージャイト)、斜長石(曹灰(そうかい)長石ラブラドライト))、チタン磁鉄鉱、チタン鉄鉱がみられる。石基に斜長石、橄欖石、普通輝石、アルカリ長石アノーソクレス)、チタン磁鉄鉱、チタン鉄鉱、燐灰(りんかい)石、ガラスなどを含む。少量の霞(かすみ)石を含むこともある。アルカリ橄欖石玄武岩との化学組成の違いは石基のアルカリ長石の量が多いことである。本来は斜長石と準長石を含む玄武岩質岩石に対して用いられた岩石名である。

[千葉とき子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

岩石学辞典 「粗面玄武岩」の解説

粗面玄武岩

この岩石名はネフェリンまたはノゼアンを含む玄武岩に命名されたが[Boricky : 1874],ローゼンブッシュはモンチカイト(monchiquite)とカンプトナイト(camptonite)に分けて,粗面玄武岩はネフェリンとノゼアンを含む玄武岩に命名し,粗面ドレライト(trachydiorite)と同義とした[Rosenbusch : 1896].アルカリ橄欖(かんらん)石玄武岩よりも少しアルカリとSiO2に富む玄武岩で,Na-斜長石とアルカリ長石などが多く,アルカリ長石が全長石の10~40%を占めている.ショイマンは,アルカリ玄武岩という名称は塩基性斜長石とカリ長石(アノーソクレイスを含む)の両方を含む岩石として用いた[Commitee on British Petrographie Nomenclature : 1921].

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

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