日本大百科全書(ニッポニカ) 「準長石」の意味・わかりやすい解説
準長石
じゅんちょうせき
アルミノ珪(けい)酸塩鉱物で、ケイ素およびアルミニウムを中心にもつ酸素の四面体が三次元的につながるテクト珪酸塩鉱物に属する。アルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど)やアルカリ土類金属(カルシウム、バリウムなど)をかならず伴う。また長石類に比べ、アルミニウムの割合がケイ素よりも高い。一般に、ケイ酸分に乏しい火山岩中に長石類とともに産する。石英とはけっして共存しない。日本では霞石(かすみいし)とカンクリナイトcancrinite(灰霞石)を産する。ほかにおもな種類として、カルシライトkalsilite、ソーダライトsodalite(方ソーダ石)、ノゼアンnosean、アウインhaüyne(藍(らん)方石)、ラズライトlazulite(ラピスラズリ、るり、青金石などの宝石名がある)、白榴(はくりゅう)石がある。
[松原 聰]
カルシライト
粒状ないし塊状で、カリウムに富む火山岩の石基構成鉱物として、また霞石と複雑に混じり合った斑晶(はんしょう)としても産する。霞石と構造は異なるものの、霞石成分を約20%固溶しうる。鉱物名は化学式をそのままよんだもの。
[松原 聰]
カンクリナイト
灰霞石ともよばれ、化学成分上、霞石に多少の水分と炭酸カルシウムが加わった形をしている。しかし、構造は異なり、別のグループを形成している。このグループには10種類の鉱物が知られている。アルカリ火成岩中に初生鉱物として産するほか、霞石の分解によっても生じる。またスカルン中にも産する。19世紀のロシアの財務長官カンクリン伯爵Count Georg Cancrin(1774―1845)にちなんで命名された。
[松原 聰]
ソーダライト
ざくろ石に似た十二面体の結晶をなすこともあるが、普通は塊状である。このグループには11種類の鉱物が知られている。アルカリ深成岩、おもに霞石閃長(せんちょう)岩およびそのペグマタイト、また交代作用を受けた石灰質岩、アルカリ火山岩のすきまに産する。濃青色を呈する大きな塊は磨いて装飾品にされる。英名は化学成分による。
[松原 聰]
ノゼアン
アルカリ火山岩中に、粒状、塊状、まれに十二面体の結晶をなして産する。ソーダライトのグループ。ドイツの鉱物学者ノーゼKarl Wilhelm Nose(1753―1835)にちなんで命名された。
[松原 聰]