日本大百科全書(ニッポニカ) 「精算表」の意味・わかりやすい解説
精算表
せいさんひょう
work sheet
一般には、企業会計を整理する複式簿記の遂行過程において、正式の帳簿記入の適正性を検証しながら最終的に作成する財務諸表(貸借対照表、損益計算書)を概観するための作業表をいう。W/Sと表記する。
複式簿記では、日々の活動を仕訳し次にこれを勘定科目別に集計するが、この結果が適正に処理されているかどうかを試算表によって検証する。試算表は、貸借対照表と損益計算書を複合した一覧表であるから、これを二つに区分すれば全体を把握することができる。通常の様式では、残高試算表、損益計算書、貸借対照表の順に一覧表としたものを6桁(けた)精算表という。企業会計の決算では、会計期末での状況を見極めて、残高試算表に記載された項目と金額の適切性をしっかりと整理・修正する必要がある。これを決算整理あるいは決算修正という。残高試算表、決算整理(決算修正)、損益計算書、貸借対照表の順で一覧表としたものを8桁精算表という。製品の原価計算を必要とするメーカー等では、製造原価という欄を加えて10桁精算表を作成したり、実践ではそのほかに使い勝手のよいくふうがなされた応用形態がある。
精算表は正式な帳簿ではないが、帳簿記入の検証、財務諸表の概観など、簿記・会計の過程で重要な役割を果たしている。
[東海幹夫]