糖原病IV型 (Anderson型)

内科学 第10版 の解説

糖原病IV型 (Anderson型)(糖原病(グリコーゲン病))

(4)糖原病Ⅳ型(Anderson病)
病因
 GBE1遺伝子によってコードされるグリコーゲン分枝酵素の欠損による.
病態生理
 グリコーゲンの分枝部をつくる酵素である分枝酵素(branching enzyme;α-1,4-glucan:α-1,4glucan 6-glycosyl transferase)の遺伝的欠損により,分枝のほとんどない直鎖状の異常グリコーゲンが全身に蓄積する.分枝の少ないグリコーゲンは難溶性で肝,骨格筋,心筋,脾,腎などに蓄積するが,機能障害が最も顕著なのは肝である.
臨床症状
 生後2~3カ月頃から体重増加不良,肝腫大を認めるようになる.肝硬変へ移行しやすく,門脈圧亢進,腹水,食道静脈瘤などを伴うようになり,5歳までに肝不全や心不全で死亡する例が多い.異常グリコーゲンの神経や筋への蓄積のため,筋緊張低下,筋力低下,深部腱反射減弱などの神経筋症状がみられる.進行が緩徐な例も報告されている.
検査成績
 病初期には空腹時低血糖はなく,乳酸,ピルビン酸,尿酸は空腹時および糖負荷時ともに正常.脂質異常症もみられない.AST,ALT,LDH,アルドラーゼなどが高値で,肝障害パターンを示す.
診断
 生検肝の病理学的検索では,PAS,カルミン染色,アルシアン青染色,ヨード染色などで異常グリコーゲンの蓄積が認められ,肝細胞の腫大や封入体の沈着などの特徴的所見を示す.分枝酵素の活性は,白血球赤血球,線維芽細胞で測定可能である.
経過・予後
 肝硬変,肝不全の進行程度による.多くの患児は2~4歳までに死亡するが,肝硬変などの進行が緩徐な症例も存在する.
治療
肝移植が試みられている.[松原洋一]
■文献
Kishnani PS, Koeberl D, et al: Glycogen storage diseases. In: The Online Metabolic and molecular Bases of Inherited Disease, (Valle D, Beaudet AL, et al eds). http://www.ommbid.com/OMMBID/the_online_metabolic_and_molecular_bases_of_inherited_disease/b/abstract/part7/ch71

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報