糸数グスク(読み)いとかずぐすく

日本歴史地名大系 「糸数グスク」の解説

糸数グスク
いとかずぐすく

[現在地名]玉城村糸数

玉城たまぐすく村を東西に延びる琉球石灰岩台地の西端、標高約一八〇メートルに位置する大型の城塞的グスク。糸数いとかず城跡の名称で国指定史跡。面積は二万一〇〇〇平方メートルを超え、沖縄島南部でも一段と高い場所にあるため、勝連かつれん半島や慶良間けらま諸島を遠望できる。伝承では一四世紀初頭に玉城按司が玉城たまぐすくグスクの西の守りのために三男を糸数按司とし、築城させたといわれる。また糸数按司の臣下で、大力無双の比嘉ウチョウが当グスクの増築に用いる資材購入のため留守にしている間に、真和志まーじの上間按司の火攻めにあい落城したと伝えられる。糸数按司滅亡後も未完成のままという口碑もある。グスク内にはチナウチとよばれる拝所があり、その中央部の岩が「琉球国由来記」に記載された「糸数城御嶽」、前面の広場が「糸数城之殿」である。「おもろさうし」巻一八の二九に「いとかすてた(糸数のテダ〔人物〕)/あんしおそい てたよ(按司襲いテダよ)/世そわるひやし(世を支配する拍子)/うちちへみおやせ(打って差し上げよ)/又 けおの世かるひに(今日の良い日に)/けおのきやかるひに(今日の輝く日に)/又 くらまる もたちへ(クラマ〔弓〕ぞ持たして)/みとろは もたちへ(ミトロ〔弓〕を持たして)/又 わたさは わたせ(渡さば渡せ)/くたさは くたせ(下さば下せ)」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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