純粋経済学要論(読み)じゅんすいけいざいがくようろん(英語表記)Éléments d'économie politique pure

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「純粋経済学要論」の意味・わかりやすい解説

純粋経済学要論
じゅんすいけいざいがくようろん
Éléments d'économie politique pure

フランスの経済学者 L.ワルラス主著で,ミクロ経済学核心である一般均衡理論を確立した古典。 1874~77年初版。 1926年決定版。完全競争市場の価格メカニズムを数学的に定式化したもの。所得制約のもとで効用を最大にする消費者行動から需要関数が導出され,また生産技術の制約のもとで利潤を最大にする生産者行動から供給関数が導出され,それらの需要と供給が等しくなる市場均衡において均衡価格が成立するという一般均衡理論枠組みを構築した。交換の理論における生産物市場の価格と需給の決定から出発し,(1) 生産の理論において生産要素市場,(2) 資本化と信用の理論において固定資本市場,(3) 流通と貨幣において流動資本市場,がそれぞれ追加的に導入され,より拡張された枠組みにおいてそれぞれの財の価格と需給の決定が議論されている。

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世界大百科事典(旧版)内の純粋経済学要論の言及

【ワルラス】より

…1870年にスイスのローザンヌ大学教授となり,92年まで在職。その経済学体系は,交換価値と交換の理論,ないし抽象的に考えられた社会的富の理論である純粋経済学,社会的富の経済的生産の理論ないし分業を基礎とする産業組織の理論である応用経済学,そして所有権の理論であり社会的富の分配の科学である社会経済学からなり,それぞれその著作《純粋経済学要論》(1874‐77),《応用経済学研究》(1898),《社会経済学研究》(1896)に対応する。しかし,経済学史上最も重要なのはその純粋経済学であり,経済の諸部門間の相互依存関係を強調した一般均衡理論を展開し,現代のミクロ経済学の基礎をきずいた。…

※「純粋経済学要論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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