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経済の二重構造 けいざいのにじゅうこうぞうdual structure of economy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

経済の二重構造
けいざいのにじゅうこうぞう
dual structure of economy

国民経済の産業構造を企業形態別にみたとき,近代的大規模企業が存在する一方,前近代的で家族経営的な中小零細企業が併存し,またこれに対応して所得の規模別格差が著しい状態。産業別 (たとえば重工業と軽工業) にみれば,この傾向はいわば当然であるが,同一産業,同一業種内にこの現象が強くみられる場合に問題となる。この事実を指摘したのはマルクス経済学の基礎の上に新しい独占理論を展開した M.ドッブらで,この背景には自由競争に代って独占要素が大きくなるにつれ競争そのものが制限されるという問題があり,このため本来駆逐されるべき小企業が逆に形のうえでその数をむしろ増していくと主張した。この経済の二重構造は日本でもしばしば指摘されたが,有沢広巳によって「戦後日本経済における基本的特徴」と定式化されるにいたって有名になった。日本の場合は,資本主義のスタートが遅れ,それだけにその経済発展が著しく圧縮された形をとったことから特にこの傾向は強く,単に企業規模に格差がみられるだけでなく,生産性や賃金の格差が企業規模間ではなはだしく,かつそれらの零細中小企業が絶対的にも相対的にも増加していることが問題とされた。 1955年頃から始った高度経済成長は,賃金の格差や生産性の点に限れば,このような二重構造を解消していったが,いったん不況に落込めば倒産する中小企業が続出するなど,大企業と中小零細企業との体質格差は依然として解消されているとはいえない。

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