経済外強制(読み)けいざいがいきょうせい(その他表記)ausserökonomischer Zwang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経済外強制」の意味・わかりやすい解説

経済外強制
けいざいがいきょうせい
ausserökonomischer Zwang

封建的領主層が農民剰余労働封建地代として搾取する場合に必要な,領主の直接的農民支配のメカニズム。すなわち人格的隷属関係のための領主権力行使をいう。封建社会においては,農民は基本的生産手段である土地を分与地として占有し自己経営としている。そのため,経営上では相対的に自立しているが,所有権は領主にあり,この所有権は占有者と人格的隷属関係を結んでいることから,直接耕作農民 (占有者) は自己の経営の合理性を追求できない。したがって農民の経済的な性格に対して土地所有関係という経済外の強制的権力が行使されているということができる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「経済外強制」の解説

経済外強制
けいざいがいきょうせい
außerökonomischer Zwang

封建的土地所有者が,直接生産者である農奴から封建地代を搾取する方法の総称
マルクスの『資本論』の中で初めて用いられた。封建社会では農民は生産手段(土地・道具)を保有しているので,領主の農民搾取は,地代のほかに経済法則と無関係な直接的強制力によらざるをえない。経済外的強制は具体的には農奴制下の領主裁判権,領主の軍事力などに現れる。

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