経路積分(読み)けいろせきぶん(その他表記)path integral

日本大百科全書(ニッポニカ) 「経路積分」の意味・わかりやすい解説

経路積分
けいろせきぶん
path integral

ファインマンが考案した量子力学の計算法の一つ。粒子の最初の位置時間と最後の位置時間を指定して、それらをつなぐあらゆる経路を考慮し、それぞれの経路に対して、位相項を足し合わせる(積分する)ことにより量子力学の確率振幅を求める方法である。ファインマンは二重スリット問題での2光波干渉を参考にして、古典力学における作用関数を基礎に経路積分を考案した。考え方は、まず古典力学において、運動方程式の経路は作用関数が最小になるように定まる(最小作用の原理、自由粒子なら直線)。その経路の周りに量子的なゆらぎを伴う運動方程式を満たさない経路(位相項で表示する)を複数考える。これは二つのスリットを通り抜ける光波の経路を考えることに相当する。そして、スリットの数を二つから増やしていき、多数の経路を足し合わせれば、各経路からの干渉を取り込むことになる。ほかに、量子力学にはシュレーディンガー波動方程式を使う波動力学ハイゼンベルク行列を使う行列力学の二つの方法がある。

[山本将史 2022年2月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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