結城廃寺跡(読み)ゆうきはいじあと

国指定史跡ガイド 「結城廃寺跡」の解説

ゆうきはいじあと【結城廃寺跡】


茨城県結城市上山川・矢畑にある寺院跡。指定名称は「結城廃寺跡 附結城八幡瓦窯跡(つけたりゆうきはちまんかわらがまあと)」。下総(しもうさ)台地西北部の鬼怒川西岸に位置する。近辺は古代結城郡のほぼ中央の結城郷に比定されている。結城寺は、古代から中世にかけての大寺院で、700年代に建立され、900年代に火事焼失、鎌倉時代に再建されて室町時代中ごろまで存続したとみられる。1981年(昭和56)から確認調査を行い、寺院の跡が確認された。その後、1988年(昭和63)から1995年(平成7)にかけて発掘調査が行われた。粘土で型作りされた塼仏(せんぶつ)、蓮華文が描かれた舎利孔石蓋(しゃりこういしぶた)、垂木(たるき)の先端に使用された垂木先瓦(さきがわら)など、東日本では珍しいものが出土している。また「法成寺」とへら書きされた文字瓦があり、『将門記』にある結城郡法城寺にあたる可能性が高いことも指摘されている。結城八幡瓦窯跡は、1953年(昭和28)に初めて調査され、2000年(平成12)、2001年(平成13)の調査で4基の窯が確認された。ここで生産された瓦類は、近接する下野(しもつけ)薬師寺跡との関連が指摘されており、古代の瓦生産の実態を知るうえで注目されている。2002年(平成14)、この2つをあわせて、国の史跡に指定された。JR水戸線結城駅から車で約16分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android