統計集団
とうけいしゅうだん
statistical group
統計学用語で、一定の標識を共通にもった個体の集合をさす。それぞれの個体がもつ属性のばらつきが統計的分析の対象となる。たとえば、国勢調査では全国民を、ブルーカラー調査では全ブルーカラー労働者を一つの集団とみなして、収入や意識のばらつきを調べ、平均値や比率などの統計量によって集団としての特徴を把握するのである。これらの統計集団を構成するのは人間であるが、いわゆる社会集団とは異なり、全員が密集して相互作用をしているわけではなく、集団意識がかならず存在しているわけでもない。
いうまでもなく、統計集団の構成単位は人間に限られない。たとえば、圃場(ほじょう)における稲束、自然科学実験での一連の試行結果、長期間にわたる気象観測データなど、統計的分析の対象となるあらゆるものの集合が統計集団である。また、無限数の個体からなる集団を想定した統計的推測が行われることもある。
[原 純輔]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
統計集団
とうけいしゅうだん
statistical group
統計学上,一定の標識を共通にもっている個体の集りをいう。このとき統計集団を構成する各個体を統計単位,共通の標識を集団の標識という。たとえばテレビ視聴率を調整する場合,特定地域の 12歳以上の者を対象とすると,その地域の 12歳以上の各人を統計単位,その全員の集りを統計集団と呼び,その地域に住んでいること,および 12歳以上であることをこの統計集団の標識という。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の統計集団の言及
【統計力学】より
…ボルツマン自身もH関数を増加させる初期条件もあることを認めたが,そのような初期条件は例外的だとしたいので,H関数の減少する確率が高いという形でしか証明の道はないと考えた。[気体分子運動論]
[エルゴード仮説と統計集団]
熱平衡状態の統計力学の建設はすんなりとはいかなかったが,1868年にボルツマンが,分子の速度成分を確率変数とみるマクスウェルの速度分布の導出法は分子運動がニュートン力学に従うことと矛盾するとし,気体分子間のエネルギー分配問題を考え直したところから始まる。ボルツマンは,気体内の1個の分子に着目すると,そのエネルギーは他分子との衝突により増減するが,単位時間中に区間(A,A+dA)内のエネルギー値をとる状態に滞在する割合としてエネルギー分布則Φ(A)dAを定義する。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」