改訂新版 世界大百科事典 「総評賃金綱領」の意味・わかりやすい解説
総評賃金綱領 (そうひょうちんぎんこうりょう)
1952年の総評第3回大会で決定された賃金闘争の基本的路線を総評賃金綱領と呼ぶ。同綱領は,賃金闘争の基本目標を〈健康にして文化的な生活〉を営みうる水準(1952年段階で月額7万円)におき,また戦前水準への即時回復,マーケット・バスケット方式による実質賃金の確保,職階制の打破などが目標として掲げられ,経営側の主張する〈支払能力〉説に対抗する生活賃金の考え方が全面的に展開された。また,これらの賃金目標を達成する前提として,(1)全国全産業一律の最低賃金制(8000円)の確立,(2)社会保障制度の根本的拡充,(3)平和産業の拡大,再軍備反対,平和憲法の擁護,なども掲げられた。また,賃金闘争のあり方としては,個別企業レベルにおける賃金交渉ではなく〈広汎な統一行動〉を主張した。総評賃金綱領は,その後の日本における労働組合,とくに総評系労組の賃金闘争に大きな影響を与えた。
→賃金
執筆者:高木 郁朗
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