線状皮膚炎(読み)せんじょうひふえん(英語表記)Linear dermatitis

六訂版 家庭医学大全科 「線状皮膚炎」の解説

線状皮膚炎
せんじょうひふえん
Linear dermatitis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 アオバアリガタハネカクシという昆虫体液に触れた皮膚に、線状に赤い皮膚炎が生じます。

原因は何か

 甲虫一種で、アリに似た小型の昆虫であるアオバアリガタハネカクシ(図93)は、夜に灯火に飛来する習性があります。これがヒトの皮膚にとまった時に、たたいたり潰したりすると体液が皮膚に付き、その体液中のペデリンという物質によって皮膚炎が生じます。

症状の現れ方

 1~2日で体液が付いた部分に線状に発赤やぶつぶつができて(図94)、数日でうみを生じたあと、ただれたようになります。

 かゆみはなく、ヒリヒリした痛みを伴います。2~3週間で治りますが、あとに色素の沈着を残します。

検査と診断

 皮膚の上で、アリに似た虫を潰した覚えがあるかどうかが診断の決め手になりますが、特徴的な症状なので臨床的に診断ができます。

治療の方法

 初期はステロイド外用薬、皮膚がただれたあとは抗菌薬配合の外用薬を塗って、ガーゼを当てます。

病気に気づいたらどうする

 まず、皮膚にとまったアオバアリガタハネカクシを潰さないことです。体液が付いた場合は、すぐに石鹸で洗い流してください。

夏秋 優


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「線状皮膚炎」の解説

せんじょうひふえん【線状皮膚炎 Dermatitis Linearis】

[どんな病気か]
 甲虫(こうちゅう)のアオバアリガタハネカクシの体液に含まれるペデリンという毒性物質による皮膚炎です。虫をつぶしたりして、体液が人の皮膚についておこります。被害は6~9月に多く、顔、手、上肢(じょうし)に痛みのある線状の紅斑(こうはん)の後、たくさんの小水疱(しょうすいほう)や膿疱(のうほう)、びらんができます。
[治療]
 副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン配合の軟膏(なんこう)を塗布(とふ)します。1~2週間で治ります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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