日本大百科全書(ニッポニカ) 「縦曲線」の意味・わかりやすい解説
縦曲線
じゅうきょくせん
鉄道線路の勾配(こうばい)が変化する場所で、その変化が急激になりすぎないように、中間に挿入する曲線。バーティカルカーブvertical curveともいう。線路の勾配が変化する箇所では、それが凸形に屈折する場合は車両の浮き上がりによる脱線を招くおそれがあり、凹形に屈折する場合は車両の垂直方向運動量の変化を急激にして軌道ならびに車両に大きな衝撃を与える。また、いずれの場合も列車の動揺が大となり乗客の乗り心地を悪くする。これらの悪影響を緩和するために縦曲線を挿入する。
縦曲線は次に示す半径以上とすること等が基準となっている。
(1)普通鉄道(新幹線を除く)においては、半径2000メートル(半径600メートル以下の曲線の箇所においては、3000メートル)。ただし、勾配の変化が、1000分の10未満の箇所は、挿入しないことができる。
(2)新幹線においては、半径1万メートル(列車を時速250キロメートル以下で運転する箇所においては5000メートル)
なお、側線においても勾配の変化する箇所には、相当の縦曲線を挿入しなければならない。
また、縦曲線と緩和曲線の競合は、車両の走行安定上および乗り心地上好ましくない結果となるので、できる限り避けなければならない。
[大澤伸男]