縮退温度(読み)シュクタイオンド

化学辞典 第2版 「縮退温度」の解説

縮退温度
シュクタイオンド
degeneracy temperature

フェルミ統計に従う粒子系で,絶対温度T = 0 K の極限におけるフェルミ準位μ0 から定義される温度,

をいう.ここに,hプランク定数kボルツマン定数Nは全粒子数,Vは系の体積である.この温度 T0 はフェルミ統計の特徴を維持しうる最高温度の目安で,これ以下ではフェルミ気体は強く縮退している.アルカリ金属貴金属では,1原子当たり1個の価電子があると考えられるので,それらの縮退温度を求めると,

となる.このように,縮退温度 T0金属の融点以上であるから,通常の温度では金属内電子は十分縮退しているとみてよい.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「縮退温度」の意味・わかりやすい解説

縮退温度
しゅくたいおんど
degeneracy temperature

フェルミオン系に対してはフェルミ統計の特徴を保持しうる最高温度の目安としてフェルミエネルギーを温度に換算した量をとり,これを縮退温度という。たとえば金属内の電子ではほぼ数万度である。これ以上の温度では,系の縮退が解けて,古典統計を用いて得られる性質に近づく。

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