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縮退 しゅくたい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

縮退
しゅくたい

(1) degeneracy 量子力学で,n 個の独立した状態が同じエネルギー固有値をもつとき,状態または固有値が n 重に縮退または縮重しているという。縮退が起こるのは系になんらかの対称性があるためで,一般に対称性が高いほど縮退は大きく,対称性が破れると縮退がなくなる。

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デジタル大辞泉の解説

しゅく‐たい【縮退】

恐れて退くこと。
量子力学で、一つの系に、同じエネルギーに対応する状態が二つ以上存在すること。その系に、ある種の対称性があることを意味する。縮重。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅくたい【縮退 degeneracy】

線形演算子Aに対し,Ax=λxを満たす数λをAの固有値,x(≠0)を固有ベクトルというが,固有値λに対して複数個の線形独立な固有ベクトルが存在するとき,固有値λは縮退(または縮重)しているという。量子力学においては,ハミルトニアン演算子Hの固有値は定常状態のエネルギーに対応するので,エネルギー準位について縮退がいわれることが多い。一般に縮退があるのは,系になんらかの対称性があるからであり,例えば球対称なポテンシャル中で運動する粒子のエネルギー準位は,軌道角運動量lħ(ħはプランク定数hを2πで割ったもの)とすると,2l+1重に縮退している。

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大辞林 第三版の解説

しゅくたい【縮退】

恐縮してしりぞくこと。
〘物〙 〔degeneration〕 対称性などのため自由度が減少すること。特に、量子力学において、一つのエネルギー準位に対し、二つ以上の状態が存在すること。縮重。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

縮退
しゅくたい
degeneracy

量子力学において一つのエネルギー準位に対して2個またはそれ以上の定常状態が属する体系をさすことば。縮重とよぶこともある。一般には、エネルギーに限定せずに広義に考えて、物理量を表す演算子のある固有値に属する線形独立な固有関数n個あるとき、n重に縮退しているという。また、古典力学においては、微小振動の基準振動数のうち何個かが一致した場合、また多重周期運動で基本振動数の間に何個かの線形的関係が存在する場合には、縮退ということばが用いられる。量子力学に従う体系では、物理的状態は互いに交換可能な演算子の固有値の組によって指定される。エネルギー(ハミルトン関数の固有値)が同じで、他の固有値が異なる量子状態が存在する場合、この系は縮退している。たとえば、水素原子における電子のエネルギー固有値は、クーロン引力が中心力であることから軌道角運動量のある方向(量子化軸の方向)への成分の固有値mによらず、さらにクーロン力の特性のため軌道角運動量の大きさを示す固有値lにもよらない。この場合には、軌道角運動量(固有値lm)について縮退しているが、磁場が作用するとmについての縮退は解ける。縮退は体系のもつ対称性に起因して生じ、その対称性を破る作用が働くと、その縮退は解ける。この作用が対称性を保証している作用に比して弱ければ、縮退は近似的に成立し、状態を分類するうえで有用な目安となる。数学では固有値問題において固有値に対する異なる固有ベクトルが複数存在することをいう。[玉垣良三・植松恒夫]

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世界大百科事典内の縮退の言及

【エネルギー準位】より

…各エネルギー準位には一つまたは何個かの定常状態が対応する。複数の状態が対応するとき,準位が縮退degenerationしているという。定常状態を単にエネルギー準位という場合もある。…

【原子】より

…ゆえに主量子数nのエネルギー準位には合計n2個の状態がある。このように複数個の状態が等しいエネルギーをもつとき,そのエネルギー準位は縮退しているという。z方向に磁場をかけると,上記の量子数mのそれぞれの値に応じてエネルギーの差ができるので,mを磁気量子数と呼ぶ。…

【恒星】より

…一方,M.シェーンベルグとS.チャンドラセカールが示したように,完全気体の等温核は質量が全体の約1割をこえると不安定でつぶれてしまう。もともと密度の高い小質量星の中心部ではそのころ密度が大きくなりすぎて電子が量子力学的効果のため完全ガス状態からはずれ,縮退といわれる固体金属のような状態となる。この場合,密度を上げれば大きな圧力を出すことができて重力崩壊を防ぐ。…

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