生理食塩水(読み)セイリショクエンスイ(英語表記)physiological saline solution

デジタル大辞泉 「生理食塩水」の意味・読み・例文・類語

せいり‐しょくえんすい【生理食塩水】

体液、特に血清浸透性を等しく作った食塩水輸血補液や注射用薬剤の溶媒として用いるほか、摘出した器官組織を生きたまま保存するときに使用人間などの定温動物では0.85~0.9パーセントのものを用いる。生理食塩液

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改訂新版 世界大百科事典 「生理食塩水」の意味・わかりやすい解説

生理食塩水 (せいりしょくえんすい)
physiological saline solution

最も組成が簡単で,血漿浸透圧の等しい溶液。生理的食塩水ともいう。蒸留水1000ml中食塩(塩化ナトリウム)9gを含む。細胞外液欠乏,ナトリウム欠乏,塩素欠乏時の体内補給の目的で,50~1000ml皮下静脈注射または点滴静注により用いる。生理食塩水中のナトリウムイオンおよび塩素イオンの濃度はともに154mEq/lであり,血漿中ではそれぞれ142および103mEq/lであるから,いずれも血漿中の濃度より少し濃い。また,血漿には食塩以外の無機成分も含まれるので,大量の生理食塩水だけを輸液に用いると,食塩の過量とカリウムイオンの不足を起こす。外用として皮膚・粘膜の洗浄や痰の排出促進に用いるほか,各種注射薬溶解希釈に広く利用されている。動物実験では,ケリカーRudolph A.von Kölliker(1817-1905)がカエルの筋肉について,蒸留水中では速やかに死ぬが,0.5~1.0%食塩液中では長く興奮性を保つことを見いだしてから,広く動物実験での体液の代用として用いられるようになった。細胞媒体としていっそう好適になるようにしたものが,生理塩類溶液といわれるリンゲル液やロック液などである。変温動物用には,1000ml中食塩6gを含有する0.6%生理食塩水を用いる。
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化学辞典 第2版 「生理食塩水」の解説

生理食塩水
セイリショクエンスイ
physiological salt solution

生理的食塩水ともいう.細胞膜は半透性の膜であるから,細胞外液の浸透圧が内部と異なると,細胞が膨張したり,萎縮したりする.そのような影響のない細胞外液とくに血清と浸透圧の同じ塩化ナトリウム水溶液をいう.生理的塩類溶液として,血液などの体液の希釈や注射薬の溶剤に用いられる.濃度は生物種によって異なるが,ほ乳類に対しては0.9% NaCl溶液が用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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