翻訳|art director
脚本に指定された場面状況や監督の演出意図などをくみ取りながら、俳優を除いた、映画の画面に写る物質的世界(セットや小道具など)を設計・構築する責任者。最初期には演劇の伝統を引き継いだ書割が用いられたが、カメラの移動が多用されるにしたがって、立体的なセットの建込みが主流となった。1910年代のイタリア史劇や1920年代のドイツ表現主義映画は、撮影所内に大がかりなセットをつくることで、世界的なヒットに結び付けた。第二次世界大戦前のフランスの詩的レアリスム映画で活躍したアレクサンドル・トロネルAlexandre Trauner(1906―1993)や、1930年代から1950年代の黄金時代のハリウッドを支えた2人、MGM社のセドリック・ギボンズCedric Gibbons(1893―1960)やパラマウント社のハンス・ドライアーHans Dreier(1885―1966)などがとくに有名である。1980年代以降のアメリカでは、美術監督のうえに映画全体の視覚的な意匠を統括するプロダクション・デザイナーという職種が登場した。
[西村安弘]
『レオン・バルサック著・山崎剛太郎訳『映画セットの歴史と技術』(1982・晶文社)』
…と同時に(あるいは書かれた台本に基づいて)プロデューサーが製作スケジュールを立て,製作費を見積り,必要に応じて銀行からの融資を受け,原則として映画監督とともに配役(キャスチング)を決める。ロケーション撮影(ロケ)の場合は,監督が中心になって,プロデューサー,撮影監督(日本では撮影技師,すなわちカメラマン),美術監督(あるいは美術担当)とともに,ロケーションハンティング(ロケハン)を行う。セット撮影の場合は台本に即して美術監督が美術設計のプランを練る(映画美術)。…
…プロデューサーの視点に即して作品の規模や商品価値の決定にまで関与する場合と,監督の演出意図の実現を助けて独自の映画的空間を設計する場合という二つの映画美術の概念が存在する。《風と共に去りぬ》(1939)の画調の統一に貢献したW.C.メンジーズは前者にあたり,ハリウッドの〈プロデューサー・システム〉における美術監督の地位の重要さを認識させた。〈プロダクション・デザイナー〉の呼称はメンジーズに始まる。…
※「美術監督」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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