義務づけ訴訟(読み)ぎむづけそしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「義務づけ訴訟」の意味・わかりやすい解説

義務づけ訴訟
ぎむづけそしょう

行政庁一定処分を行うよう命じることを求める訴訟ドイツ行政裁判法は,この訴訟を認めている。一種給付訴訟であるが,行政庁の一定の処分を行うべき義務確認を求める公法上の義務確認訴訟なども,広い意味では義務づけ訴訟の一種と考えられる。日本でも義務づけ訴訟が無名抗告訴訟の一種として認められるか問題とされている。権力分立原則に反するなどとしてこれを否定するのが通説であるが,行政庁の行うべきことが一義的に確定される場合には認められるべきであるとする見解も有力である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の義務づけ訴訟の言及

【抗告訴訟】より

…そして抗告訴訟の種類としては,(1)処分の取消の訴え(行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為の取消を求める訴訟),(2)裁決の取消の訴え(審査請求,異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決,決定その他の行為の取消を求める訴訟),(3)無効等確認の訴え(処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無の確認を求める訴訟),(4)不作為の違法確認の訴え(行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内になんらかの処分または裁決をすべきにかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟)の4種のものが法定されている(3条2~5項)。もっとも,抗告訴訟は,その法令上の定義からしても,上記の4種類の訴訟に限定されているわけではなく,行政法上の義務不存在確認訴訟,行政庁に対する作為もしくは不作為の義務づけ訴訟等のいわゆる無名抗告訴訟も理論的には考えうる。ただ,これらの無名抗告訴訟については,どのような種類,内容のものが許されると解するか,学説および判例の見解は一致していない。…

※「義務づけ訴訟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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