老人保健制度(読み)ろうじんほけんせいど

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「老人保健制度」の意味・わかりやすい解説

老人保健制度
ろうじんほけんせいど

老人医療に要する費用を国民が公平に負担するための制度。1983年,老人保健法の定めるところにより,国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保をはかるため,疾病の予防,治療,機能訓練などの保健事業を総合的に行なうことを目的として実施された。高齢化社会の到来による高齢者医療費の急激な増加医療保険における医療費負担の不均衡がその背景にあった。公費と医療保険各制度からの拠出金によって費用をまかない,高齢者が一部負担金を支払うというもので,それまで 10年間続いた老人医療費無料化制度に代わって実施された。75歳(一定以上の障害があり,老人保健法の認定を受けた者は 65歳)以上の医療保険加入者は,居住する市町村においてこの制度のもとで医療を受ける。2006年に老人保健法が「高齢者の医療の確保に関する法律」に改められ,2008年に後期高齢者医療制度が発足したことに伴い,新制度に移行された。

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知恵蔵 「老人保健制度」の解説

老人保健制度

75歳以上の人(及び65歳以上の寝たきりの人)にかかる老人医療費を賄う仕組み。老人医療費は患者自己負担を除く部分について5割を各医療保険制度からの老人保健拠出金で、5割を国と地方自治体による公費で負担している。1973年に老人医療費無料化が始まったが、医療費が膨張したため、83年からこの制度に改めた。なお2002年7月に成立した健康保険法改正で02年10月から07年10月までに70歳から75歳に引き上げ、公費負担を3割から5割に引き上げることになった。06年の医療制度改革では08年にこの制度を廃止し、新たにつくる高齢者医療制度に移行することになった。

(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)

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