老年社会学(読み)ろうねんしゃかいがく(その他表記)sociology of aging

日本大百科全書(ニッポニカ) 「老年社会学」の意味・わかりやすい解説

老年社会学
ろうねんしゃかいがく
sociology of aging

老年期を、個人に内在する身体的・精神的能力の変化という観点からではなく、個人にとって外在的な諸条件、たとえば社会制度や社会的地位役割変動といった社会学的観点から把握することによって、老年期に関連する具体的諸問題を明らかにし、分析しようとする個別科学の一分野である。代表的理論としては、社会的適応論の立場から老年期の職業活動の適応性に分析の焦点を定める社会活動説と退職後の引退視点を置く社会離脱説、役割理論の観点から老年期における一定の地位・役割の喪失に分析の焦点をあわせる社会的統合理論、副次文化論、役割出口論などがある。また、社会的地位・役割のなかでも、とくに家族内的地位・役割に着目する老年期の家族周期的理解や、生命体としての生物学的老化を重視する生命周期的変化を踏まえたライフスタイルからのアプローチも老年社会学の代表的立場である。

[那須宗一]

『長谷川和夫・那須宗一編『HANDBOOK老年学』(1975・岩崎学術出版社)』『副田義也編『講座老年社会学』全三巻(1981・垣内出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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