六訂版 家庭医学大全科 「肝嚢胞」の解説
肝嚢胞
かんのうほう
Hepatic cyst
(肝臓・胆嚢・膵臓の病気)
どんな病気か
肝嚢胞は、肝臓のなかに液体のたまった袋ができる病気です。主として人間ドックなどの超音波検査によって、無症状で発見されます。嚢胞は1個の場合も複数の場合もあり、大きさは数㎜から10㎝を超えるものまでさまざまです。
50歳以上の女性に多くみられ、超音波検査を受けた人の約5~20%に発見されると報告されています。
原因は何か
ほとんどが先天性で良性の病気です。原因が明らかなものとして、外傷性、炎症性、腫瘍性、寄生虫性などの嚢胞があります。肝臓だけでなく腎臓、
症状の現れ方
多くは無症状です。大きくなれば、腹部
嚢胞内に感染が起これば、発熱、腹痛など
検査と診断
診断は、超音波検査、CTなどの画像診断でほぼ確定します。肝機能検査はほぼ正常ですが、胆道系酵素が上昇することがあります。
嚢胞の存在診断は簡単ですが、炎症性、腫瘍性、寄生虫性嚢胞を的確に診断しなければなりません。悪性腫瘍や寄生虫性嚢胞が疑われた場合は、腫瘍マーカーの測定や寄生虫に対する抗体検査が行われます。
治療の方法
先天性肝嚢胞で症状がない場合は、定期的に検査するだけで、とくに治療を必要としません。圧迫症状が強い場合や感染、出血、破裂などの合併症を起こした場合は治療が必要です。
通常の場合、嚢胞を超音波で観察しながら、経皮的に細い針を
炎症性、腫瘍性、寄生虫性の肝嚢胞では、原因に応じた治療が必要になります。
病気に気づいたらどうする
上腹部不快感や腫瘤を触れる場合は、消化器内科を受診します。無症状で偶然発見された場合は、嚢胞の原因を調べてもらい、担当医からその後の方針を聞くようにしましょう。
関連項目
葛西 眞一, 紀野 修一
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報