胡居仁(読み)こきょじん

精選版 日本国語大辞典 「胡居仁」の意味・読み・例文・類語

こ‐きょじん【胡居仁】

  1. 中国、明代の学者。字(あざな)は叔心。号は敬斎。諡(おくりな)は文敬。江西余干の人。白鹿書院の主となり、朱子学の正統を守って、陳献章らの「心学」を排した。著「居業録」「胡敬斎集」など。(一四三四‐八四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「胡居仁」の意味・わかりやすい解説

胡居仁
こきょじん
(1434―1484)

中国、明(みん)代初期の思想家。字(あざな)は叔心(しゅくしん)、号は敬斎。江西省余干県の人。呉与弼(ごよひつ)の門人。同門の陳白沙(ちんはくさ)(献章)、婁一斎(ろういっさい)(諒(りょう)、1422―1491)と厳しく対立して、朱子学を熱烈に護持しようとした。朱熹(しゅき)(朱子)その人のもつ非儒学的業績に対しても激しく非難し、心性論では修正意見を提示している。主著は『居業録(きょぎょうろく)』。『胡敬斎(こけいさい)集』は別集。明末清(しん)初の朱子学再評価期に薛瑄(せっせん)とともに見直された。日本では『居業録』が江戸期を通じてよく読まれ、和刻本も刊行された。

田公平 2016年2月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「胡居仁」の意味・わかりやすい解説

胡居仁 (こきょじん)
Hú Jū rén
生没年:1434-95

中国,明代初期の朱子学者。字は叔心,号は敬斎。江西省余干県の人。呉与弼(ごよひつ)の門人。同門の陳献章,婁諒(ろうりよう)に激しく対抗し,特に陳献章の心学に対決し,〈朱子学〉を強烈に護持せんとした。あげくに朱熹その人を非難し,心性論では修正意見を呈示している。主著は《居業録》《胡敬斎集》。明末・清初の朱子学者からは薛瑄(せつせん)同様に高く評価された。日本では《居業録》が江戸期を通じて広く読まれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胡居仁」の意味・わかりやすい解説

胡居仁
こきょじん
Hu Ju-ren

[生]宣徳9(1434)
[没]成化20(1484)
中国,明の学者。江西省餘干の人。字は叔心。号は敬。呉与弼の門に遊び,官吏となることをやめ,家居して朱子学の実践に励んだ。著書に『居業録』『胡敬斎文集』など。

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