最新 地学事典 「脆性延性遷移」の解説
ぜいせいえんせいせんい
脆性延性遷移
brittle-ductile transition
置かれた環境によって延性になったり脆性になったりすること。物体に外力を作用させると変形し,やがて破壊する。破壊に至るまでの変形が,弾性変形のみで永久変形を伴わない破壊を脆性破壊という(ただし,実用的には小量の永久変形を伴う破壊も脆性破壊に含める)。これに対し,大きな永久変形を伴う破壊を延性破壊という。延性流動とは,応力降下を伴わずに永久変形しつづけることをいう。延性は,現象論的な意味で使われ,その機構は,1)局所的破砕に伴う非弾性変形や破断面または粒界のすべり,2)造岩鉱物の結晶転位すべりや双晶による塑性変形,3)結晶粒内あるいは粒界の拡散,などである。岩石の力学的性質は,温度・封圧・間隙流体(圧)の存在の有無・変形速度などの環境条件に依存して変化する。例えば,低封圧力下で脆性的挙動を示す岩石は高封圧下で延性的性質を示す。造岩鉱物結晶粒は,高温下で塑性変形しやすくなるので,やはり岩石は延性的になる。したがって,圧力や温度などの環境条件が系統的に変化すると,岩石は脆性から延性またはその逆へ遷移する。
執筆者:大中 康譽
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

