腐食性食道炎(読み)ふしょくせいしょくどうえん(その他表記)Caustic Esophagitis

家庭医学館 「腐食性食道炎」の解説

ふしょくせいしょくどうえん【腐食性食道炎 Caustic Esophagitis】

[どんな病気か]
 酸性やアルカリ性の薬品などを飲み込んだりして、食道の中がただれた状態です。
[症状]
 飲んだ直後から、口の中が焼けるように痛み、くび、胸骨(きょうこつ) (胸の中央に縦に長く触れる骨)の裏側、上腹部に激しい痛みを感じます。
 唾液(だえき)の分泌(ぶんぴつ)が増え、粘液や血液を吐(は)くこともあります。呼吸困難におちいることもあります。
[治療]
 ショック状態、食道と気管気管支をつなぐ食道気管(しょくどうきかん)・気管支瘻(きかんしろう)(「食道気管・気管支瘻」)による肺炎などのために生命にかかわることがありますから、救急車の出動を依頼するなどして、救急病院へつれていくことが必要です。
 病院では、中和をはかる治療のほかに、鎮痛薬の使用、点滴による栄養の補給、感染を予防するための抗生物質の使用、食道狭窄(しょくどうきょうさく)(「食道狭窄」)を予防するための副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)の使用などが行なわれます。
 ふつう、1週間程度で食道の腫(は)れが引き、飲食物を飲み込めるようになりますが、食道狭窄がおこり、しだいにかたいものから飲み込めなくなることがあります。
 その場合は、その治療が必要になりますが、腐食からおこった狭窄部にはがんが発生しやすいといわれているので、食道拡張のための食道ブジーと定期的な内視鏡検査が必要です。がんがみられれば切除術を行ないます。

出典 小学館家庭医学館について 情報

世界大百科事典(旧版)内の腐食性食道炎の言及

【食道】より

…食道異物は,気道異物ほどの緊急性はないが,長時間たつといろいろな合併症を起こすので,除去しなければならない。(3)食道炎 食道に炎症を起こした状態で,消化液の逆流によるもの(逆流性食道炎)と,薬物毒物の嚥下によるもの(腐食性食道炎)とがある。 逆流性食道炎は,本来食物の通路で,消化液に対しては無防備である食道に胃液,胆汁などの消化液が逆流して,食道壁に炎症が起きたもので,潰瘍や瘢痕(はんこん)性狭窄を起こす場合がある。…

※「腐食性食道炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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