腐食疲労(読み)フショクヒロウ

化学辞典 第2版 「腐食疲労」の解説

腐食疲労
フショクヒロウ
corrosion fatigue

疲労とは,金属材料に耐力以下の周期的繰り返し応力を加えたときに起こる低応力破壊をいう.これに対し,腐食疲労は,腐食環境において疲労に対する抵抗が減少する現象をいう.一般に破壊までの応力の繰り返し数は,前者においては周期にほとんど無関係であるが,後者では周期が大きくなるにつれて繰り返し数は減少する.腐食疲労は一種応力腐食割れと考えられるが,その機構はよくわかっていない.多くの場合貫粒割れで,また孔食を起こしやすい環境で起こることから,孔食による切り欠き効果であるとする説もある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の腐食疲労の言及

【疲労】より

…これは,例えば,地上と上空との気圧の差を受ける航空機の機体の破壊事故などの原因となる。 疲労は,材質,負荷条件および化学的環境によって大きくその様相を異にし,とくに,環境下での疲労は腐食疲労と呼ばれる。この疲労の機構は,現在のところ完全に解明されるに至っていないが,疲労硬化,疲労軟化による微視組織の変化の段階を経て,亀裂発生に至ると考えられる。…

【腐食】より

…応力の存在下で金属の変形が起こると表面皮膜の破壊が起こるが,破れ目を起点とする腐食反応の進行の速度がそれを補修する速度を上回ると局部腐食に発展する。湿食条件と機械的な皮膜の破壊とが重なり合うと腐食疲労,衝撃腐食,応力腐食割れなどの過酷な局部損傷の原因となる。以下,常温での水溶液環境での腐食に関して述べるが,個々の用語は別欄に一括して示した。…

※「腐食疲労」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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