改訂新版 世界大百科事典 「腸内殺菌剤」の意味・わかりやすい解説
腸内殺菌剤 (ちょうないさっきんざい)
intestinal antiseptic
enteric antiseptic
感染性下痢または腸内異常発酵の際に,殺菌または防腐の目的で投与する薬物のこと。腸内の感染微生物に対して局所的に殺菌作用を及ぼすことを目的としており,宿主(ヒト)に対してはできる限り作用(毒性)を及ぼさないのが望ましいので,小腸から吸収されにくい薬物であることが条件となる。古くは外用殺菌剤のうち,これらの条件に沿ったものが用いられた。フェノール化合物(クレオソートなど),アクリジン製剤(アクリノールなど),キノリン製剤(キノホルムなど)などである。しかし最近は毒性などのためほとんど用いられない(たとえばキノホルムはスモンの原因である疑いが強い)。現在用いられているのは,ベルベリン製剤,化学療法剤のサルファ剤,各種抗生物質などである。
執筆者:重信 弘毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報