日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレオソート」の意味・わかりやすい解説
クレオソート
くれおそーと
creosote
おもにブナ属植物のほか、ナシ、モミジ、マツなどから得た木タールを蒸留して水より重い留分を精製したもので、グアヤコール、クレゾールなど約10種のフェノール類の混合物である。無色または微黄色の澄明な液で特異なにおいがあり、舌を焼くような味を有する。水に溶けにくく、エタノール(エチルアルコール)、エーテル、グリセリンとよく混和する。殺菌・防腐作用を有し、腸内異常発酵、各種下痢、食中毒にクレオソート丸として内服する。また、去痰(きょたん)・鎮咳(ちんがい)作用を利用して慢性気管支炎の治療に用いられる。そのほか局所麻酔作用もあるので、歯科で小綿球に浸して虫歯に挿入し、殺菌消毒と痛みをとるために用いる。殺菌作用はフェノールより弱く、毒性、刺激性も弱い。
[幸保文治]