改訂新版 世界大百科事典 「膨化食品」の意味・わかりやすい解説
膨化食品 (ぼうかしょくひん)
puffed food
米,麦,トウモロコシ,大豆などを原料とする多孔質な食品で,主としてアメリカにおいて開発された。これらの原料は,いずれもデンプンが主成分であるが,デンプンは水と熱を加えてのり(糊精)化しないと消化吸収が悪い。日本では,せんべいのような形の食品に加工することにより,こののり化を行っている。圧力のかかった状態で,原料に水を加え加熱し,次いで急に圧力を下げると,原料内部の水蒸気が急激に膨張する。したがって,製品はきわめて多孔質で,かみ砕きやすくなり,デンプンも十分にのり化している。膨化に用いる膨化機には,加圧し,瞬間に膨化,乾燥する膨化乾燥機(爆発乾燥機,加圧乾燥機,パフィンガン乾燥機などの種類がある),原料に膨剤を混合し,真空中でマイクロ波を照射し,瞬間に膨化させるもの,原料をこね上げたドウ(こね粉)をノズルから押し出し,瞬間に膨化乾燥させるものがある。とくに最後のものはエクストルーダーと称し,1970年代に開発されたもので,原料を選ばず,ノズルの型を変えることにより多様な製品を製造することができるので,いろいろなタイプのスナック食品の製造に広く用いられている。現在は,大豆を原料とした肉のから揚げ様食品や魚のすり身を原料としたカニ脚風食品などが,新食品として開発されている。
執筆者:田島 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報