精選版 日本国語大辞典 「自専」の意味・読み・例文・類語
じ‐せん【自専】
- 〘 名詞 〙
- ① 自分の一存で自由勝手にことがらを処理すること。自恣。
- [初出の実例]「祖父母父母在。子孫就養無レ方。出告反面。無二自専之道一」(出典:律(718)八虐)
- 「『リベルチ』とは自由と云ふ義にて漢人の訳に自主、自専、自得、自若、自主宰、任意、寛容、従容、等の字を用ひたれども未だ原語の意義を尽すに足らず」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉二)
- [その他の文献]〔礼記‐中庸〕
- ② 中世、政務や所領所職の経営等について、独断専行のあるときに、その不当性を強調して用いることがあった。一向に進止すること。→進止(しんし)。
- [初出の実例]「即感晴法印文永八年拝二領当郷一後、公文同人改二補之一、皆以郷司自専也」(出典:祇園社記‐七・永仁三年(1295)七月二八日・感神院御祈祷料所伊予国古田郷給主法眼栄晴申状)
- ③ 一つのことがらにだけ専念して他のことをかえりみない様子。あることがらをひたすらよしとすること。
- [初出の実例]「自宗を自専する、前来を軽忽し、前来をそむくなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)仏道)