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寛容 かんよう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

寛容
かんよう

元来は,異端や異教を許すという宗教上の態度についていわれたのであるが,やがて少数意見や反対意見の表明を許すか,否かという言論の自由の問題に転化し,ついには民主主義の基本原理の一つとなった。ボルテールは「君のいうことには反対であるが,君がそれをいう権利は死んでも守ろうと思う」と語り,これは寛容の精神をよく示した言葉として引用される。だが寛容には限界があるとされている。まず第1に,理性,良心,真理への信念に基づく言説にのみ適用すべきである。第2に,民主主義を破壊しようとする言動に適用してはならない。ワイマール共和国がこの限度を知らなかったために悲劇の道をたどったことは歴史的教訓として記憶されている。

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デジタル大辞泉の解説

かん‐よう〔クワン‐〕【寛容】

[名・形動](スル)
心が広くて、よく人の言動を受け入れること。他の罪や欠点などをきびしく責めないこと。また、そのさま。「寛容の精神をもって当たる」「寛容な態度をとる」「多少の欠点は寛容する」
免疫寛容
[派生]かんようさ[名]
[補説]書名別項。→寛容

かんよう【寛容】[書名]

神崎武雄の小説。昭和17年(1942)発表。同年、第16回直木賞受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんよう【寛容 toleration】

寛容とは,広義には,自己信条とは異なる他人の思想・信条や行動を許容し,また自己の思想や信条を外的な力を用いて強制しないことを意味する。しかし,思想史に即して考えれば,それらが社会的にとくに問題になるのは宗教および政治の局面においてであり,しかもこれら二つの局面は深くかかわりあっていることによって,寛容は政治的・社会的自由の源流となった。
【宗教的寛容】
 異なった宗教・宗派を容認するという意味での寛容の概念が,ヨーロッパの思想史上にはじめて登場したのは,ストア哲学ヒューマニズムにおいてであろう。

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大辞林 第三版の解説

かんよう【寛容】

( 名 ・形動 ) スル [文] ナリ 
心が広く、他人をきびしくとがめだてしないこと。よく人を受け入れる・こと(さま)。 「 -の精神」 「 -な態度」 「夫もほかの人が遊ぶのを-するならいいが/坊っちゃん 漱石
[派生] -さ ( 名 )

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

寛容
かんよう
tolerantiaラテン語

特定の宗教、宗派やその信仰内容・形式を絶対視して他を排除することなく、異なった立場をも容認すること。寛容される側からすれば信教の自由に相当する。寛容は単に個人の徳目(心の広さ)ではなく、むしろ社会的な次元にかかわり、宗教と政治ないし国家との接点で生じてくる問題である。歴史上、寛容もその反対の非寛容も多くの実例があるが、一般に同一の社会(地域)内に複数の宗教が並存するようなところでは寛容の傾向が強く、いずれかの宗教が優位にある場合、非寛容への条件が与えられているといえよう。アジア地域では概して異宗教が共存することが多く、寛容が通例であった。これに対し、古代ローマ帝国の遺産を受けて成立した中世以後の西欧では、キリスト教会が唯一の正当性を主張し、異端や異教徒への非寛容が続いた。西欧において近代的な寛容(信教自由)の原則が定着するのは、ほぼ啓蒙(けいもう)主義の時代(18世紀)以後のことである。[田丸徳善]

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世界大百科事典内の寛容の言及

【示相化石】より

…一般に古生物の種ないし属についていうが,古動物群についていうこともある。適応力のすぐれた,すなわち耐性toleranceの広い種は不利な条件下でも生息できるのに対し,狭い種はごく限られた環境にしか生息できない。種々の環境条件に対して耐えうる範囲の大きさにより,生態の広性・狭性が区別される。…

【耐性】より

…抵抗性ともいう。生物が病気,害虫,薬剤,高温・低温,乾燥のような不利な環境条件などに対して対抗しうる性質。生物は一般にその生息場所の諸条件に対してはある程度の耐性をもっている。さもなければ生き残ってこなかったはずだから,これは当然のことである。例えば暑い砂漠に生息する動植物は,高温,乾燥の下で十分生きていけるだけの耐熱性,耐乾性をもっており,寒帯や高地に住む昆虫の多くは耐凍性をそなえ,また氷点下の温度でも(あるいはそのような温度条件下でのみ)活動できるものもある。…

※「寛容」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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