興全寺跡(読み)こうぜんじあと

日本歴史地名大系 「興全寺跡」の解説

興全寺跡
こうぜんじあと

[現在地名]宮之城町広瀬 上寺下

佐志さし小学校(旧領主仮屋地)から約二〇〇メートル北東寄りの台地上にあった。松尾山浄菩提院と号し、真言宗本尊千手観音。初め松尾まつお寺と号する天台宗寺院で、永仁五年(一二九七)渋谷氏系答院氏四代行重、斑目景泰らにより、行重の義父重松(行蓮)の菩提を弔い、また行重子孫の繁盛を願って創建された(同年二月一八日「松尾寺建立記文案」答院記)開山は紫尾山神興しんこう(現鶴田町)の越前房琳春。当時伏見天皇の勅願所だったとの伝承もある(三国名勝図会)。その後松尾寺院主職は付属する寺領時吉の鵄栖平ときよしのとびすひら内大牟田田薗屋敷とともに嘉暦三年(一三二八)琳春から石見房朝春の子息彼岸次郎丸へ譲られ(同年四月一日「松尾寺院主琳春譲状」答院記)、康安二年(一三六二)には僧弘春に与えられた(同年一二月二九日「松尾寺住持職補任状」同書)。至徳二年(一三八五)には玄祐から快玄へ(同年一二月二七日「松尾寺院主玄祐譲状」同書)、応永一八年(一四一一)には快玄から快智へ譲られた(同年一一月一五日「興全寺住持快玄譲状」同書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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